信夫山

昔、(男が)陸奥で、なんということもない人の妻(の元)に通っていたが、

奇妙に、そのようであるべき女でもないように見えたので、

しのぶ山忍びて通ふ道もがな 人の心の奥も見るべく

(信夫山の名前のように忍んでこっそり通う道がほしい あの人の心の奥までも見ることができるように)

女は、(この歌を)この上なくすばらしいと思ったが、

そのような性格の良くない田舎者の心を見た後には、どうしようか。

伊勢物語 第十五段 2009年7月 5日作成 内田美由紀


みちのくの信夫摺りは伊勢物語の初段に出てくるので、陸奥の信夫郡の・・・・・・と学生時代から覚えて、

その割にどんなところか、イメージがなかった。

普通は「福島市街の北にある丘陵」と注されるが、

地図を見る限り、昔はなかなか重要な山だったのではないか。

松川と阿武隈川にはさまれて、平野部にある山で、水運や人の動きなどを見渡すことができ、

見晴らしという点で重要な拠点だっただろうと思う。

行くことがあったら上に登って見たい感じ。昔だったら烽火を上げるのにぴったり?

というわけで、インターネットで検索をかけたら、

しのぶ山どっとこむや国土地理院の地図に行き当たった。

城跡マークもあるし、神社もあるし、展望台もあるとか、登山ができるとか、なかなか楽しそう。

来た道だけでなく、みちのくも見渡せる?

 

人の妻に通うなんてふらちな奴だと思うかもしれないが、この時代はそういう時代ではなかったはずだし、

「さるさがなきえびす心をみてはいかがはせんは」というのも、後注めいている。

忍んで通って、相手の心の奥までみたい、というそういうどうしようもない願望というのは、

恋愛らしくってロマンチックだ。

それを「さがなきえびす心」というのは、あまり京風でない・雅やかでないということなのだろうか。

まあ、確かに、人の妻でそこへ別の男が通ってくる・・・・・・男は妄想として考えるのかもしれないが、

女性としては現実には考えにくいことだ。

源氏物語なら空蝉のパターンを見ていただければわかるだろう。

以前、箒木・空蝉を公開講座で説明したとき、源氏にしてはずいぶん無茶をしているなと思った記憶があり、

おそらく設定にもかなり無理がある。反対側からの掛け金が掛けてなかったとか・・・・・・。

源氏のとばり帳の要求を知らない振りして断ったのだから、当然、紀伊の守は掛けておくはずのところでしたね。

伊勢物語 第十五段 2009年7月 5日作成 内田美由紀

 

 

 

 

 

 

 

伊勢物語 第十 五段 2009年7月2日作成 内田美由紀